くるったシーケンスは もどらない

キラ☆キラで瀬戸口氏の魅力について十分に触れていたにも関わらず、わたしがそれ以降深く入ることが無いまま引退してしまった彼が、エロゲー古今東西にてエロゲー規制問題について語ると聞いてはいてもたってもいられず、さまざまな予定をかなぐり捨ててまで瀬戸口・唐辺作品に触れていました。現時点において、キラ☆キラ、CARNIVAL、SWAN SONGPSYCHE…までコンプ・読了し、残るは犬憑きさんのみになりました。(本来なら、CARNIVALの小説版も読むべきなのでしょうが、さすがに難しい。)9/1のイベントには夜行で行く予定なので、その時間つぶしにでも読もうかなと思います。


以下、Twitterでポストしたことを繋げて雑感など。


CARNIVAL
狂気の物語でした。シナリオ1において、最後の選択肢は、「僕には、何もわからない 」という、思考の放棄を選ぶことで物語が進むことに、薄ら寒さというかまさに狂気を感じました。どの結末においても、冒頭で主人公が「殺人」を犯したという事実に違いはなく、その殺人からどこをどう辿ればこの結末に辿り着くのか、思考が飛びすぎてて理解できないような話も、気がつくと無理やり納得させられている。事件の解決というよりは、登場人物それぞれが抱えている罪にスポットが当たっていく構成でした。罪の許され方や認め方も特殊だとは思うのですが… 最後には、理紗のためになら神にでもなろうと決めますが、そこで悪魔を出さなかったのがなんとも学らしい。彼がこれまでしてきたことは、やはり彼にとっては正義だったのだと。それを象徴しているようでした。個人的にすごく気に入っているのは倉嶋氏によるOPムービー。あんなに綺麗なアニメーションなのに、実際には何の意味も持っていない。キャラクターごとの背景を膨らませれば確かにこうだろう、という妄想はできるけど、結局そこ止まりです。何というか、このムービー自体が実にCARNIVALらしいです。開発体制が万全であれば、もう少し他の登場人物について掘り下げられたのかな、と。勝手な想像ですが。


SWAN SONG
こちらも罪の要素が強い作品でした。極限状態における人間の心理は、それこそ違和感なく瀬戸口氏の文体とマッチします。それぞれの登場人物にしっかりと役割を振り、壊れていくもの、裏切られるもの、それでも信じようとするもの…などなど、立場を明確にすることで荒唐無稽になりそうな物語をしっかりまとめていました。内容については、言及すべきことがあまりにも多すぎて、それはそれでもう一度記事を書きたいな…と思っています。それにしても、わたしにはちょっと難しい作品でした。


瀬戸口廉也作品における魅力のひとつには、間違いなく主人公の力があると思っています。「ぼく」という一人称によって語られる心理描写は圧倒的すぎて、唯一無二な世界に一気に引き込まれてしまう。それから、ビジュアルノベルという形式も、氏の作品にはまっています。というのも、一度にあの圧倒的な心理描写をずらっと表示することができるのは、視覚的に捉えるという意味で非常に有利だからです。とくにCARNIVALのような作品ではそれ「らしさ」を演出するのに外せない要因でしょう。現に、CARNIVAL、SWAN SONG。キラ☆キラの3作品はビジュアルノベル形式ですね。


SWAN SONGの感想の前に、瀬戸口作品における主人公の特徴を並べたら面白いかなと思っています。まぁ、わたしに分析する力はないので、それぞれで比較…ということはできないでしょうが、それでも何か価値はあるかな。そういえば、もし、このブログを見ている方で、「エロゲー古今東西 金町工場長かく語りき」出張版!に参加される方がいられましたらtwitterにてご連絡ください。もし互いの都合が付けばお話しましょう。