ユーザーとしての自覚

夏の一夜のガールズ・トーク・ライブに行ってきました。あんなに近くで声優さんの演技を見たのは初めてだったので、声の持つ力の強さというものを改めて感じました。本当に素晴らしかったです。最後には、中島裕美子 さん 木下ひよ子 さん 山田茉莉 さんの3人による、生ever forever。まさかここで聴けるなんて思ってもいなかったので非常に感動しました。客席との距離も非常に近い…というより目の前なので、そういう意味でもあったかいイベントだったと思います。楽しかったー。


そういえば、秋葉原電気外まつりの二日目、以下某匿名掲示板より。

220 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 15:19:14
nbkzwwwwwwwwww

ルール守れない糞バカ多過ぎ


223 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 15:23:07
>>221
ルール守らない奴ばかりで布モノ販売中止


231 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:2009/08/14(金) 15:30:51
>>226
告知は15:30以降それ以前はなにも告知とかしないから店の周囲に群がるなとの注意書きがあった
しかし2、30人位(もっと多かったかも)店の前、周囲で待機してた為に
ルールを守れないから販売中止と告知があった


こんなことがあったそうです。うん、まさにnbkz氏らしいというか。ブランドやメーカーはもっとこういうところを厳しくしても良いと思うんですよね。わたしは初日に参加したのですが、街のど真ん中で行うということで、少なくとも7時以降ぐらいに並ぶのが常識だと思っていました。が、結局7時過ぎ〜8時頃に並んだわたしが確実に購入できるデッドラインで、それ以降は在庫に欠けがでるほどだったそうです。minoriが人気のあるブランドだということも、ユーザーの期待も高いということもわかりますが…。オタクが常識を持たなければもっと、住みにくい世の中が待っているだけだと思うのです。


オタクだからって開き直る姿勢は、どうしたって共感できるものではありません。
今夜にでもホームページで何かしらアナウンスがあるものと思われますが。

振り返らない強さ ef – a fairy tale of the two./minori

ef – a fairy tale of the two./minori


さて、ようやくefの感想なんかを書いてみようと思います。といっても、わたし自身このefがきっかけとなり、minoriの作品をことごとくプレイしてしまったため、efに限らず、同ブランドの他タイトルの話なんかも少し出てきてしまうかもしれません。また、当然のようにネタバレを含んでおりますので、ご了承ください。


ef – a fairy tale of the two.は、前編と後編、the first taleとthe latter taleという形で販売されました。the first taleの発売当時、非常に楽しみながらプレイしていたのですが、前編がまさしく前編、本当の物語はここから始まると言うような、あからさまな引っ張り具合にがっかりしてしまい、そこで後編に対する期待はおろか、前編について描かれていたものに関してだいぶ放棄してしまいました。前編で伝えたかったことというのは、後編とは限りなく独立していながらも、後編で描かれるものを知っていたほうが、より理解が深まるようになっています。多くの物語についてそれは当たり前のことであって、前編・後編と分けたのはやはり失敗だったのではないか、と考えてしまいます。ただ、そんなことは瑣末と思えるほどの衝撃を、the latter taleはわたしに与えてくれたのです。(おとぎ話はふたつある、などそういう考え方をしてみると分割も悪くはないのですが、前編が単体で評価された際にどうしても不憫な結果が付きまとうのは、当たり前とは言え残念です)


さて、こんなにもわたしがefに惹かれている理由はなんなのでしょうか。
はっきり言って、「別れるために出会う」そこに尽きると思っています。efはおとぎ話です。それはコピーからもわかることですし、そもそも優子が存在していること自体がその証明です。だからこそ、わたしはこのおとぎ話はわかりやすいハッピーエンドで終わると思っていた。辛い過去を背負っていた優子が今度こそ本当の幸せをつかむ、そんな物語を想像していました。これは、雨宮優子のための物語だと。しかし、二人は出会い、そして別れます。そこで火村が誓ったことは、「振り返らないこと。」優子を想って生きてきた火村があの瞬間、振り返らずに未来へと進む。別れに至るまでに、二人が出会った若者たちが見せてくれたような、未来へ続く可能性というものを信じて。わたしはそこでようやく、この物語は、今を生きる火村のための物語だったのだと気付き、そしてその瞬間、そこに続くすべての物語が圧倒的な力を持ちました。1章、2章、3章、4章(ミズキ)これらは、二人に未来を信じさせるための可能性として、まさしくなくてはならないものであった。火村の強さと、その過程を考えたとき、ef – a fairy tale of the two.はどれほど壮大な物語だったのでしょうか。


「別れるために出会う」、一見矛盾を孕んだこの言葉が、このおとぎ話においては悲しさよりも、強い光を感じさせます。それは3章までに展開される群像劇や、優子の想いを継いで生きるミズキがわたしたちプレイヤーにそれを提示してくれたからです。「はるのあしおと」では、断絶とその先にある希望を文章によって表現しました。今回は、その先にある未来というのをわたしたちに強く「想像させること」に成功したと思っています。火村が歩む未来が、必ずしも明るいなんて保証はないわけで、それにも関わらず、わたしたちプレイヤーに「輝くものだろう」「明るくあって欲しい」と信じさせるのはこの物語の勝利です。


その別れや、未来に続く希望と言うのを上手く表現しているのが、アニメーションムービーです。酒井伸和は以前に新海誠との対談において、

―ムービーは時間軸を含め、ユーザーをゲーム(操作)から切り離せる、プレイヤーではなく、観客にできる時間なんです。シナリオはテキストを読むスピードにも個人差があり、時間を制御できないけれど、ムービーにはそれができる。ですから、物語を展開させる部分に挿入しています。


                               Wind – a breath of heart – ビジュアルファンブック2より

という発言をしています。
なるほど、ムービーに関しては、the first taleでは事前にOPの体裁で配信されましたが、その実、物語の最後に流れ、後編:the latter taleへと繋がる挿入ムービーでした。そして、the latter taleにおいて、クライマックスに流れるムービーは、現在とこれから歩む未来へと繋ぐ挿入ムービーの役割を果たしています。上の引用にあるように、ムービーというのは私たちを否応なく観客にします。ムービー=動画に頼るならば、アニメという確立されたジャンルがあるではないか、という意見もあるかもしれませんが、物語ひとつを綴る際に、表現方法なんてあくまで手段でしかないのではないでしょうか。その物語が最も映えるベストな状態に持っていく、それが創り手の使命でもあるはずです。その使命に関して、酒井伸和という男は最も素直な人間であるように思えます。少なくとも、エロゲー業界においては。


そのムービーに関しても、たいがい素晴らしいのがminoriです。「はるのあしおと」では、やがて来る幸せを表現し、傘を開くシーン「解放」に注目が集まりました。あのムービーはプレイ後なお、考えさせられることが多い。新海の作品はとにかく深くて、自分の世界観で与えられた作品を染め上げます。だからこそ酒井も任せることができるという発言もありました。さて、話はefに戻ります。後編最後のムービー、ever foreverが見る者に与える衝撃と言うのは筆舌に尽くすほどでしょう。ディレクションに関して、シャフトにどのような指示があったのかはわかりませんが、未来へと続く挿入を、おそらく完璧な形で表現してしまった。新海とはまた違った、非常に素直な想いが伝わってきました。あのムービーがあるからこそ、わたしたちは未来を信じることができる。


BITTERSWEET FOOLS」は、過去を振り返らなかった男たちが、自分の守るべき場所や人、つまり振り返る場所を見つける群像劇でした。「Wind」は、街とそれを取り巻く風、あるいは人を通じて、想いの強さを。「はるのあしおと」では、甘えとそれを断ち切るための別れ、そして幸せな再会を描きました。minoriというブランドはそもそも過去作での反省点を活かしたような作品作りを主としていましたが、ef – a fairy tale of the two.はまさに今までのminoriが積み上げてきたもの、それを最大限に発揮できた結果だったのではと思います。また、minoriは作品において、街に主体性を強く持たそうとしている気がしてなりません。どの作品においても、街が限りなく重要な要素になっています。そして、街との干渉を通じて成長する人間が必ず登場している。minoriが持つ独自の世界観というのはそこに起因している部分もあるのはないでしょうか。


それにしても、ef – a fairy tale of the two.の感想というよりは、ほとんどminori全般についての発言になってしまいました。ただ、わたしにとって、efはエロゲーにおける答えの一つです。それは、エンターテイメント的な、いわゆる視覚から得られる情報にしてもそうですし、文章から広がる世界に関しても同様です。文章だけではない、音楽だけではない、イラストだけではない、動画だけではない、efはエロゲーというコンテンツでしか表現できないものだった、と思っています。


minori's 4th challenge about "will"
このwillをわたしは決意と解釈しているのですが、この挑戦はまさしく完璧な形で成功しました。あの圧倒的な決意は、憧れさえ抱かせます。minoriは4作目にしてほとんど「完璧」を作ってしまった。続く5作目、どんな物語を提示しても本作を超えることは非常に難しいでしょう。そこで期待することは、他と比べることのできないようなベクトルの作品です。多くの作品を評価するに当たって、まったく世界観や設定の異なる作品を比較してしまうのは、構造や批評をする上では有益かもしれませんが、純粋に物語を楽しむ上では、余分な要素になることが多い。そういった比較させること自体を放棄させるような、まったく新たな視点で、わたしたちに新たな物語を突きつけてくれることを期待します。

追いかけて 追いかけて 走れ

お久しぶりです。就職活動・試験共にひと段落しましたので、更新再開といきたいところです。ずっと就職活動、やっと終わったと思ったら期末試験が始まってしまったので、本当に久々の自由。


コミケ期間中に、then-dさん主催のエロゲクラスタついったー部八柾上京OFFに参加させていただくことになりましたので、皆さまよろしくお願いします。気がついたらわたし以外、そうそうたるメンバーが集まっていてちょっと驚きです。色々勉強させていただけると良いのですが。


エロゲ近況など。
エロゲに関しては、ef以降、スマガ、スマガスペシャル、BITTERSWEET FOOLS、Wind-a breath of heart-と順調にプレイしていました。これだけ時間が経過してもefはわたしの中に鮮烈に焼きついているので、これから感想なんか書いてみる次第です。全然色あせる気がしません。スマガは、物語自体の面白さと言うよりも、構造が非常に面白かった。プレイする人によって感じることはさまざまで、久々にエロゲ業界に問題を引き起こした作品だったな、と。BSF、Windは共にefに衝撃を受けた結果、minoriというブランドについて掘り下げたかったので。BSFでは短さを利用した群像劇、非常に映画的な作品でした。展開や結末を変に考えることなく、物語を場面場面で捉えるのが非常に楽しかったです。ただ、構造としては、最後の章は固定なので、一度結末を見てしまうと2週目からは同じ結末が待っていることから途端に物足りなくなってしまった。その点が残念でした。Windは街について。想像していたよりもはるかに深くて、CLANNADは街全体が一つの主体的な生き物というような感じでしたが、Windではその街に対して外側から見るような面白さがあった。どちらも母と子がテーマとしてありましたが、Windのそれは、子が街というちょっと一風変わった物語です。Windに関しては、then-dさんが書いていらっしゃった記事に非常に共感しました。


現在は、はるのあしおとをプレイ中です。あの青春が何を見せてくれるのか非常に楽しみ。minoriに関してはこれで一応最後にしようと思っていたのですが、より深く知るには、ANGEL TYPEもプレイしたほうが良いのかな…


さて、これからはまとまった時間が取れると思うのでブログ更新のほうにも力を入れていきたいですね。

翼なんて無くて構わない


 前回のどんちゃんがきゅ〜のレビューをFiRSTRoNさまに取り上げていただきました。ありがとうございます。


 さて、「当分エロゲやらずに本を読む」などと言っていたが、予定は変わってefをやっていました。ef – a fairy tale of the two. first taleをプレイしたときにあまりに中途半端に終わってしまったことと(今なら中途半端だとは思わない)、一定のテーマに沿った青春群像というありきたりな印象(同上)から抜け出すことができずに、あちこちで面白いなど評判は聞いていたにも関わらず、今の今まで放置していました。本当にもったいない。なんで今になって― という理由は特にないのですが、やはりlatter taleをやらずに評価するのはあまりに傲慢だろうと。


 プレイ中に感じていたことは逐一twitterのほうにpostしていて、TLでも反応があったり、わたしから見ればエロゲー先達の人からefの感想が聴けたのは非常に嬉しかった。それと同時にefという作品の影響力を認識していました。twitterは、現実の世界でエロゲに対して議論する場を持たない人に優しい空間なのは間違いないです。


 感想というかレビューを書いてみようという気にはなっているのですが、作品の世界観とメッセージ性が強くて、今更書いても…とつい思ってしまう。そういったことを気にせず、今の感情が色あせないように書くべきなんだろうけど。


 ちなみに、画像はサントラのAlato。あまりにもジャケットの絵が気に入ってしまって、あえてTDG-501で撮ってみた。ピントが上手く合わないけれど、発色だけは素晴らしいと思う。何故かうっすら発光しているように見えません?サントラの中身に関しては言わずもがな。迷いと希望と眩しさと悲しみと、そして強さが詰まった作品でした。ever foreverはエロゲ史に残すべき名曲。


 とにかく、火村の強さに憧れました。自分に置き換えて考えるなんて意味のないことだろうけど、わたしだったらやっぱり最後の場面は振り返っていると思います。振り返らずに未来へ進む強さ、それがどれだけの厳しさや辛さの上に成り立っているかということ。


 まだあの世界が頭からぬけきっていなくて、今は何も手につかない状態です。それこそ気分転換に本でも読んでみようか。ここまで書いて、やっぱりefに対してなんらかの気持ちを述べたいと思ったので、そのうち感想でも書いてみます。そのうち。

乙女とペダンチックと どんちゃんがきゅ〜/light

どんちゃんがきゅ〜/light


さかしきひとにみるこころのスピンオフ的な位置づけなのか、そもそも切り離してまったく別の作品として捉えたほうが逆に馴染みやすかったんじゃないかとか、そんな余計なことを思わず考えてしまうくらい、別方向な作品でした。さかここのほうがより強いメッセージを背負って体現していたのに比べてちょっと弱かったんじゃないかな、と。ただ本作は、ガジェットとして“恋する乙女の日記”をのぞき見るような、そんなところに存在しているような気がするので、そういう方向で捉えると、素晴らしく良くできた作品に見えてくる。地の文という表現が適切かはわからないが、そのほとんどは主人公である紀子が喋ってれるし、だからこそできる表現というのもたぶんにあって面白い。わたしなんか、その「のぞき見」的な楽しみ方は早々に飽きてしまって、純粋にシナリオを追っていたにも関わらず、可愛いなぁと思ってしまう瞬間が何度もあり、やはりそこはこの作品の仕掛けとライターの力によるものなのだろうと納得していました。


「職人の世界は厳しい、その女を務めるのならばそれを重々承知していなければならない」という、俊夫のいる世界ならではの厳しさを紀子にぶつける残酷な場面を何度も見せ付けられるのだが、それでもそのたびに曲がったり折れたりすることのない紀子の強さ・ひたむきさというのは、ひどく魅力的だった。でも、そんな紀子もちゃんと一人の女の子だ、というのを最後に仕込んでいて(人形を壊そうとするところですね)、限界のある人間だ、女の子なんだということを上手く表現することで、それまでのひたむきさがより強まったように思う。夢や理想を見せ付けられるだけでは、作品の中とは言え、違和感を持ってしまうので。しかもそれをクライマックスにぶつけてくるので、紀子の切実さがよく伝わってきて、さらにリアルだった。まぁ結局、親方の優しさ・愛という枠の中でひたすらに泳がされていた二人という気がしないでもないですが。


普通のエロゲーは、大体男が主人公で、その内面に関して事細かに描写されていることが多いことからくるギャップなのか、俊夫がどんな人間なのかよく理解することができなくて、どうしてそんなに紀子が入れ込むのか、という根本的なところに疑問を持ってしまうことも。Hシーンに行くと途端に変態になるあたりも、それが作品としてのジョークなのか本人の性格なのかもよくわからない。悪い人間でないということもわかるし、夢と自分に正直だということも良くわかるが、それだけでは?と思わないでも。ただ、ここは文句をつけるところではないということももちろん理解しています。深く考える上で気になった点として。


けいおん!だとか、らき☆すただとか、少女観察というジャンルが確立されてきているが、本作は恋愛を主軸においたそれと呼べるのではと考えてます。それだとただの少女マンガという括りになってしまうかな。ただ、この少女マンガという表現は本作を説明する上で非常に適切。そう、少女マンガと、それに現実というストイックさを重ねたような作品でした。今の少女マンガのほうがよっぽどストイックだ!という声もあるかもしれませんが、わたしにはこのくらいがしっくりきます。「紀子」というある種、キャラ幻想の生んだ理想の乙女を知る楽しさやこそばゆさに満ちた作品でした。

マイナー作品レビュー関連のアレ

 今回のレビューは某所の企画用に書いたのだけれど、アップするのを忘れて気がついたら期限を過ぎてしまいました…というわけで、せっかくなのでアップしてしまえということで、久々の更新です。ちょっと偉そうな文体なのは最近読んだ本の影響ということで。


ラストオーダー

ラストオーダー

ラストオーダー/13cm


 この作品を単なる凌辱ゲームと捉えるか、哲学と捉えるか。その判断によって作品の価値は大きく変わってくる。確かに、売り出し方もいわゆる「エロ」をメインに押し出しているし、そこにそれ以外の要素を匂わせる要因なんて無い。CGのほとんどもそれである。だが、この作品には、間違いなく他の凌辱ゲームにはないものがある。そこをぜひとも感じ取って欲しい。


 主人公は性的な快感を求めてヒロインに性を要求しているのではない。あくまでも日常の、「平凡な」日常の変化として、その代償のように凌辱行為を続けている。どうして、そんなにも主人公は普遍に疑問を感じるのか、その行為を続けることで本当に自分は満たされているのか。この作品は決して何かの答えを見つける物語ではないし、救いを求める物語ではないけれども、人生における疑問や憤りというのはひしひしと伝わってくる。もしかしたら、ライター流の新世界というものを、我々プレイヤーに提示しているのかもしれない。


 本レビューにあたって、確認の意味もこめて再度プレイしてみたのだが、数年前にプレイしたとき以上に、その異質さ・特異さを再認識した。古い作品だが、演出や構成など、現在プレイしても十分楽しめると思う。壮絶な歌詞のOP「Abyss」や、切ないピアノのBGM曲など、音楽面も非常に優秀である。ただ、間違いなく万人受けするようなタイトルではないので、紹介しようかどうか迷ったのだが、企画の主旨にもあるよう、そういったことは気にしなくて良い、とのことなので遠慮なく紹介させてもらった。


 エロゲー、という言葉がこれほどぴったりと当てはまる作品もなかなかないだろう。なるほど、これは良くできたピカレスクロマンである。



StarTRain

StarTRain

StarTRain/mixed up


 どんなことにも、必ず初めの一歩があるけれど、恋愛っていうのは、やはり特別なものなのだ。楽しかったり、嬉しかったり、辛かったり、傷ついたり… あらゆる感情を綯い交ぜにして、誰もが経験していることでも、人それぞれ中身はまったく違う。始まりがあれば終わりがあるわけで、色々な失敗を繰り返しながら人間は成長していくんだ、というそんな初歩的なことを教えてくれる作品。


 悩むことって、周りに支えてくれる人がいるからこそできる。自分を大切に思ってくれる誰かがいるからこそ、悩んで進むことができる。本作をプレイしていて羨ましいというか、憧れみたいなものを感じたのは、周りの人間が些細なところで主人公のことを支えている部分である。いつもは馬鹿をやっていても、肝心なところではきちんと相手のことを考えている。辛いときの仲間の励ましほどありがたいものって、なかなかない。


 本作を評価する上で欠かせない要素っていうのは、やっぱり失恋なんだろうけど、失恋した主人公を取り巻く環境というところにスポットを当てると更に本作の良さがわかるはず。環境に甘えて、犠牲に犠牲を重ねていくような主人公に対して嫌悪感を持つ人もいると思うが、若い頃って、そんなわけのわからない犠牲や失敗なんて、誰だってやっている。大小や程度の問題はあるかもしれないが、そうした経験って後々必ず生きているはず。主人公の未来、というのは閉ざされた作品の中では推測することでしか存在し得ないが、きっと明るいものなのだろうと願う。


 前向きになりたい人や、何か迷っている人には一歩踏み出す勇気が持てるようになるかもしれない。切なくも前向きなエロゲーとして、ぜひともおススメしたいと思う。



 さて、今回紹介した2本はまったく方向性の異なる作品である。しかし、どちらもわたしの心の中には深く刻まれている作品で、決して色褪せないものだ。エロゲー業界というのは、市場規模としてはそこまで大きくないものかも知れないが、中身はものすごく多岐にわたっている。その中で自分に合う作品、プレイしてよかったと思える作品に出会えることはなかなか難しい。非常に稚拙であることはもちろん自覚しているが、このレビューが誰かの心に残るような作品を見つけるきっかけになれば嬉しい。

Keyらじトークライブ in OSAKA 参加レポート

Keyらじトークライブ in OSAKA 参加レポート


すぐにでもレポートを書くつもりだったのに、なんかすっかり出遅れてしまいました。内容に関してはうろおぼえな点もありますが、中身を確認する感じで書いてみます。

当日は余裕を持って会場に着くはずでしたが、寝坊してしまい飛行機の時間を1つずらすことに。予定よりも3時間ほど遅れて会場に着きました。ぎりぎりでチケット引き換え組の優先物販に間に合い、Tシャツ・DSケースを買いました。他は10thのときと同じだったのでスルー。ちなみにこのケースはDSLiteしか入らないので、DSiユーザのわたしにとっては記念品扱いになりました(笑)

ホテルでうとうとしていたらあっという間に会場時間に。どんだけ寝る気だよって感じですけど(笑)ちなみに、会場前のアナウンスはすずきけいこさんがやっていたそうです。全然気付かなかった。


・〜開演〜
まずは折戸さん(衣装:リトバス男子制服)のDJプレイから。いきなり沙耶の眠れるレクイエムがかかってOTSUのような感じでスタートしました。ハコの広さ的にもクラブな雰囲気満点でしたが、今回はらじおメインということで会場はそんなに沸いていなかったような。続いてLast regretsやdisintegration、enigmatic LIAからも。ラスリグや何曲かはオリジナルミックスだったような気がするんですが、どうですかね?BPMを上手くそろえて曲のつなぎを楽しめるのはやっぱりクラブイベントならではだと思います。サプライズ的に楽しかったです。ちなみにVJを担当していたのはいたるさん。エフェクトカッコよかったです。20分ぐらいだったかな。


・いたるさんやちろさんも出てきてKeyらじスタート
Keyらじ絡みのお便りコーナーは割愛いたします。一番遠くから来た人は?とかそんな感じでした。九州・秋田など、さすがに北海道は居なかったみたい。

・ゲストコーナーその1
都乃河さんが登場。わたしとしては、一番楽しみにしていたコーナーでした。Key関連で思い出せるところまでがんばってみます。


・Alicemagicの経緯について
Little Busters!、Alicemagicを含めた3曲を社内コンペにかけて主題歌を決めた。結局Little Busters!が一番だったが、没にするのはもったいなく、麻枝さんから「詩を書いてくれ」と頼まれ初作詞に挑戦。発売後の評判もよく、また10thイベントでRitaさんが歌ったときに相当盛り上がったため、Ritaさんと一緒に喜んだとか。ちなみにその場に作曲者の折戸さんは居らず、(今回のイベント中にその出来事を知り)がっかりしていた。


Rewriteについて
田中ロミオさんがはやく始めていたので良いところは終わっているらしい。都乃河さんも話すとネタバレになってしまう程度のところまで。竜騎士07さんは、担当分は終了?現在はうみねこにとりかかっているらしい。竜騎士さんは短期間で素晴らしい文章を仕上げてくるので驚いたとか。今までのKeyの毛色ではない部分の担当らしいです。


・Rewite-BGMについて
折戸さんだけではなく、今回は外注の力にも頼っている。具体的な名前を挙げると、「井内舞子さん(I’ve)」「水月陵さん」「細井聡司さん(hosplug)」折戸さんも負けないように頑張ると言っていました。


Angel Beatsについて
こたえられない!(笑)


・Key作品で好きなキャラクター
Kanon:佐祐里 AIR:佳乃 CLANNAD:杏 リトバスに関しては、自分がシナリオを担当したキャラクターは可愛くないわけがないと言っていました。


あとは妖怪の話などあったのですが…思い出せないところもあるのでこの辺で。都乃河さんは面白いことを喋ってやろうと思っているのかいないのかわかりませんが、聞き手を楽しませるような話をされるのですごく面白かったです。Alicemagicに関しては詩の内容について言及して欲しかったかな。それでも、大満足でした。

・ゲストコーナーその2
サプライズですずきけいこさん登場。とても仕切りの上手い方で、Keyらじメンバーが非常にぐずぐずになっていました(笑)すずきさんはレポーターやナレーション経験の豊富な方だったので仕方ないのかな。Keyの作品では2キャラ(鷹文&河南子、葉留佳&佳奈多)に声を当てることが多く、見た目は違うけど心の中では繋がっている、というところを感じて欲しいと言っていました。そういえば、すずきさんが「涼元さん、涼元さん」と、涼元悠一さんの名前を何度か出していらっしゃったので、いらぬ心配をしてしまいました(笑)


ふつおたのコーナー
Key作品をプレイしたことの無い人にすすめるのは?いたるさんはKanonから、絵の進化を見てもらうのは良いけど、時代に退行されると辛いからだそうです。折戸さんはサントラを聴いてもらって気に入った作品からとのことでした。他にもありましたが割愛。


・Keyマニアッククイ
わたしは結構良いところまでいったのですが、やっぱりダメでした。ちょっと辛い問題もありました(笑)


・いたるさんと歌おう
Little Busters!とだんご大家族を合唱。だんご大家族はKeyイベントの定番になってきていますね。そのままアンコールへ続いたのですが、最後は風の辿り着く場所でした。KSL LIVEのときは恥ずかしがって歌っていなかった折戸さんが歌っている…!正直だんご大家族以外は合唱って曲でもないし、ちょっとアレかなとも思っていたのですが、会場にいると何でもアリに感じてしまう。風の辿り着く場所はラスリグに埋もれがちですが、素晴らしい曲ですし、個人的にとても好きな曲なので、こうしたイベントで使われるのは嬉しいな。


というわけでだいぶ省いたところもありましたがこんな感じでした。予定時間を1時間オーバーした合計3時間と非常に長丁場でしたが、トーク中心ということで最後まで楽しく参加することができました。いつものイベントよりも非常に距離が近いというか、Keyの内側をもうちょっとのぞくことができた気がします。都乃河さんやちろさんも初めて拝見できましたし。去年の5月から始まったKeyのイベントラッシュ、今まで10年間、イベントに関してはほとんど沈黙を保って人前に出てくることの無かったKeyが、こんなにもファンサービスに徹してくれるとは思いませんでした。あまりにも一気に駆け抜けたため、当分は活動もないのかなと思いますが、OTSU#03などどうしても期待してしまいますよね。今のところKey主催のイベントにはなんとかすべて参加できているので、これからも出来る限り参加したいところ。とにかく今回のイベントが無事に終わってよかったです。楽しかったー!